約 1,155,486 件
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/143.html
きつめのホラー表現あり。閲覧注意です。 窓辺からはスズメの鳴き声が聞こえる。 秋晴れの朝、かがみは三日前から下ごしらえをしていたミネストローネスープを煮込んでいた。 今日はこなたが遊びにやって来る日だ。 高校を卒業し地元の国立大学へと進学したものの、新しい環境に馴染めずふさぎ込みがちだったかがみを元気付けたのが、高校からの親友であるこなたであった。 そのこなたが来る。お世辞にも得意とは言いがたい料理の腕前ではあったが、かがみは今の自分にできるせめてものお礼をとこなたを夕食に誘ったのだ。 台所には、さすがに三日も煮込んだだけのことはあって、舌にのせただけでとろけてしまいそうな肉の香ばしい匂いが漂っている。 こなたは美味しいと言ってくれるだろうか。かがみは頬が自然と緩むのを感じた。 そう、こうやってかがみが笑顔を見せるようになったのもこなたのおかげである。 かがみにとっての大学は苦行の場であった。誰からも気にかけられず、家族以外とは会話のない毎日。 だんだんふさぎこみがちになり、ついには一歩も家から出ることがなくなっていった。 そんな姉の様子を心配したつかさは、共通の友人であるこなたに相談していたのである。 こなたは「ツンデレじゃないかがみんはかがみんやないんや……」と言って、ちょくちょく木冬家を訪れるようになった。 最初のうちこそかがみも迷惑そうにしてはいたものの、少しずつではあったが昔のようにうちとけ、ついには笑顔も見せるようになっていった。 そしてかがみが大学へ復学したのがつい一週間前のことである。 三日前にこなたが遊びに来たおり、かがみは夕食に誘った。 こなたは「うっ……つかさの料理の方が……」と最初は言っていたものの、 かつてのような明るさを取り戻したかがみの様子が嬉しかったのか、「じゃあご馳走になるよ」と快諾してくれた。 そんなこなたの様子を思い出しながら、かがみは下ごしらえをしたのだ。自分を再び大学へと引き戻してくれたこなたには、 今までに食べたこともないような美味しい料理を味わってもらおうと思って。 そろそろいい頃合いだろうか。かがみは読んでいたライトノベルをテーブルへ置くと、椅子から立ち上がり目の前の鍋から味見をする。 「……お姉ちゃんおはよう。何か変なにお……」 そう言いながら台所へと入ってきたつかさは顔を真っ青にして硬直した。 「おはようって、つかさ。もうお昼だぞ」 そう言ったかがみの口内は赤黒く染まり、歯の隙間には何本もの長いブルーの糸のようなものが挟まり、それは床まで垂れ下がっていた……。
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/33.html
by万引き常習犯(東京都) 夏休み 今日もセミのけたたましい鳴き声の中、私は勉強をしていた。 ただお「おーい、かがみ、つかさは友達と遊びに行ってるんだしお前も・・・。」 かがみ「ん・・・今勉強してるから・・・。」 ただお「そうか・・・。せっかく大学生になったから、お父さんはもっと遊んだほうがいいと思うけどな。 それに、せっかく実家に帰ってきてるんだから高校時代の友達と遊んできたら・・・。」 かがみ「いや、でも勉強しなきゃいけないから・・・。」 不思議なものだ。高校時代に夏休みといえば勉強をしないつかさがお父さんにいつも注意されて いたのに、今では勉強をしている自分が注意されているのだ。 そう思っていると携帯が鳴った。つかさからだ。 かがみ「もしもしー?」 つかさ「あー?おねーちゃん?あのさー、今日夕御飯いらないってお父さんとお母さんに伝えといてー。」 かがみ「・・・わかったけど、あんたまた○○君と遊んでるの?」 つかさ「えー、○○君とはもう別れたよー。今は△△君だよ!」 かがみ「はぁ・・・。本当にローテションが激しいわね・・・。」 つかさ「じゃあ、お父さんとお母さんに宜しくね!たぶん11時ぐらいには帰れるから」 かがみ「はいはい、楽しんでらっしゃい」 夏休みに入ってからつかさは毎日のようにサークルの友達や男の子と遊んでいる つかさからの電話が終わるとまた携帯が鳴った。今度はまつりお姉ちゃんだ。 まつり「かがみー?あのさ、今日は彼氏んちに泊まるからお父さんとお母さんによろしく言っといて」 かがみ「・・・自分で言いなさいよ」 まつり「はいはい、じゃあ伝えといてね」 ブツリ ツーツーツー 本当に勝手なんだから・・・・。私がいつも家にいると姉妹全員が分かっているから、私を伝言板の ように使うのだ。 かがみ「はぁ・・・、もう東京に帰ろうかなぁ・・・。」 勉強がはかどらない・・・。私の居場所はもうここにはないのかもしれない。
https://w.atwiki.jp/kagatsuka/pages/81.html
853 :かがみコスプレ大作戦!1/4:2008/03/24(月) 23 05 45 ID L9Ayz/Vrかがみ、つかさの誕生日後の学校での休み時間の会話。 「この間、私が誕生日にプレゼントした制服着た?」 「恥ずかしくて着てなかったり・・・エヘヘ」 「学校の制服とほとんど同じなのに」 「でも、そういうのってなんか恥ずかしくない?」 「そうかな…私はバイトで普通にやってるけど…」 *** 「ところでかがみは腕章着けたのかな」 「お姉ちゃんも付けてないと思うよ…」 「そうだっ!」 「こなちゃん、急にどうしたの?」 「かがみんに、あの衣装と腕章を着させようっ!」 「お姉ちゃん頼んでも着ないと思う…」 「そこは作戦で何とか。」 こなたは色々思案するも、なかなかいい案が浮かばず。 この時、つかさはこんな事を思っていた。 お姉ちゃんの、コスプレだっけ?…コスプレを見てみたいな 「こなちゃん、着てくれるか分からないけど私から頼んでみるよ」 「じゃあ、こういう事にしよう。 今度の土曜日に家の前についたらメールするから、そこから作戦開始! 上手く着せることができたら、上手く間を取って私が突入!」 「こなた、そんな熱心に何話してるのよ?またゲームかアニメか?」 「いやいや。そんなことより、今週の土曜日遊びに行ってもいい?」 「別にいいけど…」 (こなちゃん、それ言っちゃっていいのかな?…) 854 :かがみコスプレ大作戦!2/4:2008/03/24(月) 23 06 07 ID L9Ayz/Vr*** そして、土曜日。 「今日こなた遊びに来るんでしょ?」 「そういえば、そうだね…」 「そういえば、お姉ちゃんこの間のプレゼントの着けてみた?」 「あんなの着ける訳ないわよ。そういうつかさはどうなの?」 「私も実は…そうだ、お姉ちゃん、私がもらったの着てみる?」 「な、いきなり何よ。」 「お姉ちゃん可愛いから絶対に合うと思うよ。」 「でも、今日こなたが…」 「平気。平気だってば、お姉ちゃん。じゃあ、ちょっと取ってくるね。」 「ちょっと、つかさ」 部屋を出ていくつかさ。その時、つかさの携帯にメールが届く 『今、家の前に着いたよ~。そっちの調子はどう?』 「え~と、」 『一応、着るところまでは何とか出来たよ。』 『じゃあ、あと10分ぐらいしたら突入するね~』 『うん。』 855 :かがみコスプレ大作戦!3/4:2008/03/24(月) 23 06 28 ID L9Ayz/Vr*** そして、何とかつかさはかがみに例の制服を着させた。 「こう、かな」 「お姉ちゃん可愛い~」 照れて、顔を赤くしているかがみ。 「お姉ちゃん、記念に1枚取ってもいい?」 「ダメよ、こればっかりは。」 「せっかくだから、お願い。」 カシャカシャ 「あんた、今2枚取ったでしょ?」 「エヘヘ、だってお姉ちゃん可愛いんだもん」 そんなやり取りをしていると、 ピンポーン 「誰だろう?」 「まさか、こなたじゃないでしょうね?」 その時、1階から母の声が 「かがみ~、つかさ~。こなたちゃんが来たわよ~」 「ちょっと、つかさ、どうするのよ?」 「う~と、え~と…」 つかさがオドオドしてると、部屋にこなたが入ってくる。 856 :かがみコスプレ大作戦!4/4:2008/03/24(月) 23 06 50 ID L9Ayz/Vr「お~s…ってかがみんや、その姿は如何に??」 「こ、これは…えっと…」 さらに顔を真っ赤にして照れまくるかがみ。 「k、」 「何も言うなっ!」 「お姉ちゃん似合ってて、可愛いんだよ。」 「やっぱり、似合うと思ったのは正解か。ニヤニヤ」 こなたの意味ありげな表情を見て、 「ひょっとして、あんたの仕業か?」 「どうしてそれを?…って、自分で言っちゃったよぉ~」 「逃げろ~、鬼が追いかけてくるぅ~」 「あわわ~」 「2人とも待ちなさいよ!」 「かがみん、パンツ見えてる!」 「う、うるさいっ!」 「もう、女の子の片鱗すら」 「お姉ちゃん、メンゴ、メンゴ~」 857 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23 08 03 ID L9Ayz/Vrアニメ見返して、あのシーンでこんな事を妄想したので投下しました。 軽くネタでスイマセン。 858 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23 11 07 ID uH95JU1/ 857 GJ! つかさの頼みなら聞くかがみ、可愛いよ
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/144.html
【拝啓かがみ様】 こなたはその温かな指で、ぷっくりとした曲線を描くかがみの頬をなぞる。 静寂だけが二人を包み込んでいた。 今は何者にも邪魔をされたくない。 こなたは、かがみのその優雅な体型を、薄桃色の柔肌を覆い隠す衣をはだけさせ、仰向けに寝ていてもそれとわかる胸をあらわにさせた。 【拝啓こなた様】 最後に笑ったのはいつだっただろうか。 今はそれすらも思い出すことができない。 高校生だった私は毎日笑っていたような気がする。 笑うだけじゃない。怒ったり泣いたり、今では想像もつかないほどいろいろな感情があった。 しかし今は、一日中誰とも会話しないことが普通になっている。 機械仕掛けの人形のように、決まった時間に大学へ行き、終ったら家へ帰るといった動作を延々繰り返すだけ。 今の私の姿を見たら、こなたはどう思うのだろう……。 【拝啓かがみ様】 高校を卒業してからも、4人がそろうことはあった。 こなたは文学部へ、つかさは家庭生活学部へ、みゆきは医学部へ、そしてかがみは法学部へ。幸いにも全員都内の大学だった。 しかしそれも最初の1年くらいのことで、後は携帯メールでたまに連絡を取り合う程度。 あの3年間も、夏のソフトクリームが溶け出すように、最初はゆっくりと、そして徐々に加速し、 最後には空になったコーンの名残を惜しむようなべた付きと、バニラの甘い香りだけが手にのこるように甘美な思い出となっていた。 【拝啓こなた様】 壁に貼った写真の私、高校生だったころの私が笑っているのが見える。高校時代は本当に毎日が楽しかった。 楽しすぎた。 一番幸せな時間だった。 あの頃の私が、今の私を見たらどう思うのだろう。 怒るだろうか、悲しむだろうか、それとも嗤うだろうか……。 いや、きっとどれも違う。きっと今の私を私だとは認めないだろう。 認めないで欲しい。この時間が永遠には続かないだろうと知りながらも、永遠であって欲しいと願っていた頃の私には……。 【拝啓かがみ様】 こなたは赤ん坊のように、かがみの乳房に接吻した。 しかしそこにはひんやりとした感触しかなく、こなたは静かに涙を落とす。 涙を伝えるかがみの曲線は、まるで水分を多分に含んだ最上の桃のように思えた。 【拝啓こなた様】 今の私には、かつての私のような輝きはない。 だったら、できるだけあの3年間に近いうちに時をとどめておきたい。 あの夢のような時間を過ごした私を思い出せる間に……。 ……そろそろ練炭の煙が私を包み込む。 私、笑ってる? あの写真のように、こなたが知ってる私のように笑えてる? ねえ、こな 完
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/106.html
by金森まさみ氏 柊かがみの日常 ~ある日の事~ 「ふぅ…今日の予習終わりっと♪あ~疲れた」 あたしの名前は柊かがみ今年の春凌桜学園を卒業し都内の大学に進学した、卒業式の日こなたが 「ねぇみんなあたし達は今日この学園を卒業するけどあたしはみんなの事忘れないからね」 するとそれに応えるかのように 「うん、こなちゃんあたしもこなちゃんやゆきちゃん事忘れないよ!」 「私も泉さんかがみさん、つかささんの事忘れません」 「あたしも皆と同じよ、みゆきそしてこなた、あんた達はこの学校で知り合った最高の親友よ」 我ながらこっ恥ずかしいセリフと思いながらつい口に出してしまった、第一本当の事だしね… その後進学の為の準備やら一人暮らしの準備やらでそうこうしてる内にこなた達と連絡する事が少なくなり気が付けば大学一年生の五月… 「ふぅ…こなた達今頃どうしてるかな…」 この前連絡した時は皆それぞれの大学で楽しくやってるそうだ…つかさやみゆきと連絡取った時には二人とも彼氏が出来たらしい… まぁみゆきは容姿端麗でナイスバディおまけに分け隔てる事なく人と付き合えるから自然と注目を浴びるでしょうし、 つかさと謂えば高校の時は人見知り激しいかった方だったけど料理専門学校に進学してからはそんな自分を変えようと努力した結果趣味の合う友達にも恵まれその友達の紹介で今の彼氏と付き合う事になった訳…皆充実した学生生活を送ってる中… 「彼氏かぁ…あたしも欲しいな…まぁ…無い物ねだりしてもしょうがないっか…」 コンコン… 「あっは~い」 カチャカチャギィ… 「今晩はかがみ♪勉強でもしてた?」 「まさみ、どうしたの?こんな時間に」 「うん♪今日でた課題の事でちょっと判らない所が会ってさ後…ジャーン!」 「ジャーンってあんた…またお酒持って来たの?」 「うん♪課題終わったらかがみと一緒に呑もうかと思ってね♪」 はぁ~まったく…半場呆れながらも 「まったくあんたは…まぁいいわ…上がって」 「はいよ~お邪魔しま~す ♪」 このまさみと言う女性…かがみが大学に入学した際知り合った友達、 大学入学当時高校と時同様すぐ友達が出来ると思っていたけど… 根っからの気真面目な性格とちょっとキツめの言動の物言いが災いして気が付けは大学内では孤立… 話しかけてくる人もいない大学とアパートの往復のだけの退屈な大学生活のさなか声を掛けてくれた女性… 性格はあたしから見た印象としては勝ち気で面倒見がよく思った事はハッキリ言う性格かな…? 後は無駄にポジティブで酒好きな所か…まぁ今まであたしの知り合った中でこなたやみさおとは違うタイプの人かな… しかし…なんだろうね…この感じ…まさみと一緒に居ると心がウキウキと楽しくなる… 大学で知り合ってまだ日が浅いのにね…やっぱり人間って自分とタイプと違う人間に惹かれてしまうのかしら… 「でっ…どこが判らないの?」 「う~んとね…ここの例文がちょっちね…」 そこの例文は今日出された課題あたしもちょっと悩んだ所だったけど ちゃんと講義を聞いてれば解けなくはない例文だった… 「ここはこうしてこの前習った授業を参考にして……」 「ふんふん…あっ!?そっか♪そうゆう事なのね♪なるほど、 いや~かがみの教え方って判りやすいね♪ 「全くあんたは…講義中居眠りしてるから聞き逃してるんでしょ」 「いや!面目ないしかしあの教授の授業ってなんか眠くなるんだよね♪」 「まぁあんたはバイト三昧で夜遅く帰る事もあるしね、 けどあんたも曲がりなりにも学生なんだからその辺少しは自覚しなさいよ」 「ハイハイ♪もぅかがみは真面目だねぇ」 「あんたが不真面目なだけだ!」 まったく…とっ、まぁこんな感じであたしの生活続いて行く… まぁ悪くはないけどね♪その後勉強も終りまさみと飲み比べをして 大変な事になるんだけどこれは別の機会に話すわ…流石に恥ずかしいし…
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/49.html
by、佐賀県 「うげ……風邪引いた…………」 体温計の数値は38.5℃。今朝起きたら布団が丸ごとはだけていたから、多分体を冷やしてしまったのだろう。 腹の具合が悪い。熱があるとわかると急に頭も痛くなってきた気がする。大学はあるけど休むしかない。テスト近いのに、大丈夫かな。 「とにかく薬……薬……ってあれ? ないの……?」 常備薬の入った箱を漁って見たが、風邪薬が一つも入ってない。 一人暮らしでこの状況は絶望的だった。だが幸いにも歩くことが出来ないほどの重態じゃない。 自分で薬を買いに行こう。私は服を着替えて、自転車の鍵を持って外に出た。 しまった。そう思ったのは近所のコンビニに来たときだった。 よく考えればコンビニに風邪薬は置いてないのだ。脳の回転がまずいことになっているらしい、こんな初歩的なミスをするなんて、私らしくも無い。 仕方無い。帰って、薬局の開く時間まで待とう。 「あ~……頭痛い……吐き気がする……それに夏だってのに寒いわ…………」 とりあえず食べられそうなものをと思って、プリンとアイスとヨーグルトを買っておいた。しかし今はとても口にする気になれない。 家に着いて、布団に潜り込む。それから薬局の開店時間まで、ひたすら布団にくるまってう~う~とうなっていた。 ひたすら気分が悪い。死にそう。吐くものも無いだろうに吐き気が止まらない。喉も痛いし鼻も詰まる。風邪の症状がメドレーで襲い掛かってきていた。うっぷ。ちくしょう。死にそうだ。 近所のドラッグストアの開店時間になった。私は立ち上がろうとしたとたん、床に倒れ込んだ。こけた時の衝撃で吐いた、その場で床に。汚い。しかし掃除をする元気があるわけがない。 「ごほ……げほ…………」 這うようにして洗面所まで行き、口の中をゆすいだ。 それから熱を測りなおしてみた。1分後、体温計の示した数値は………… 「40.5℃…………朝より上がってるし…………」 まずい。本気でまずい。症状も目で見てわかるほど悪化している。頭が痛い。景色がぐにゃぐにゃする。 こんな状態で外に出るのは果てしなく危険だとわかっている。でも、自分で行かないと、他に薬局まで薬を買ってきてくれる人なんて…………私にはいない。 さっき床に吐いたとき、服が汚れたから着替えることにした。ひどく汗をかいたので下着も替えることにした。 辛さと、みじめさとで、私は泣きたくなった。 いや、泣いた。涙をぼろぼろこぼして泣いた。寂しい、辛い、誰か、誰か助けて。おかあさん。おとうさん。 ノスタルジーな感傷に浸ってる場合ではない。動け私の体。じゃないとやばい。今死ぬ。本気で死ぬ。昔の人は風邪が原因で普通に死んでたんだぞ。 ましてこの21世紀に風邪で死にましたなんて文明人としての恥だ。おまけに大学生がアパートで孤独死なんて洒落にならない。私は外に出て、文字通り必死で薬局を目指した。 自転車は使えない。確実に転ぶ。徒歩で行くしかなかった。 これほど孤独を痛感したことは無かった。自分がこんなに弱い存在だったと初めて知った。 そう、私は孤独なんだ。風邪を引いてなくても変わらない。私は一人。大学に入ったときからずっと、これからもずっと。 大学を出て、働き出して、どうするんだろう? きっと今と変わらない。孤独な生活が待ってるんだと思う。自分から変わろうとしないで、一体何が変わるものか。 これからも私は一人ぼっちで生きていくんだ。一人分のご飯を作って、一人で食べる。そうやって、30歳になっても、40歳になっても、ずっと一人ぼっち。そしていつか今日みたいに。本当に誰にも助けられないでアパートの一室で孤独死するんだ………… 「おーっす、どったの柊ぃ? 気分悪そうジャン」 女の声が聞こえる。誰だよ? あたしがこんなダブルで胸くそ悪い時に、そんな嬉しそうな明るい声で話しかけてくるやつは? 「………………日下部? 奇遇ね……あんた何してるの?」 ぼやっと歪んだ視界の中に、高校の頃の同級生、日下部みさおの姿があった。別々の大学に進んでからはほとんど連絡もとってなかった仲だ。それがなんで今、ここにいるのだろう? 「そりゃ柊が心配だったから来てあげたんだよ! 風邪なんだろ? もう安心していいよ。柊っちは一人じゃないからね! あたしはずっと柊の友達だよ!」 大きく開いた口から八重歯を覗かせて、屈託の無い笑顔で日下部が言った。 私が友達……、そう言ってくれるのはすごく嬉しい。涙が出そうになるほど嬉しい。 私にも確かに友人がいた。きっと彼女らが今の私を見たら、そんな風に優しい言葉をかけてくれるのだろう。そう思う。本当にそう思う。きっと彼女がここに居れば。そう言ってくれるのだろう。 「…………はいはい。もういいわよ……。黙って……。わかってるわよ…………」 目をこすり直して、もう一度前を見る。 そこには誰もいない。ただむなしく町の景色を映し出す透明な空間があるだけだった。 今度こそ私は涙を流した。嬉しくてではなく、ただ悲しくて。 「だ、大丈夫ですか……? 顔色すごく悪いですけど……」 ドラッグストアの店員、アルバイトらしき若い男性が私を見てそう言った。 私は、大丈夫です、と心にも無い言葉を返して店を後にした。買った薬はその場で栄養ドリンクと一緒に飲んだ。でもすぐに効く訳が無いのでまだ気分はすこぶる悪い。 でもこれで後は帰って寝てれば、そのうち治るだろう。そう思うと気分は楽になった。あとは帰るだけ、帰って布団に潜り込むだけでいい。私は帰路を急いだ。 しかし一つだけ問題があった。体がもう限界なのだ。おそらく熱はさっきよりもっと上がっているだろう。 下手したら42℃を超えているかもしれない。頭だけでも急いで冷やさないと本気で後遺症が残りかねない。20代のうちから将来のアルツハイマーの種を植えておくなんぞ冗談ではない。 急ごう。目の前がふらふらするから急げないけど、できるだけ早く帰るようにしよう。私は危うい足取りで家を目指して歩いた。目の前の景色がよく見えなかった。だから、前から歩いてきた男の集団にも目が行き届いていなかった。 前から歩いてきた男性に、私は思いっきり正面衝突した。 「痛っ! おうそこの女あ、どこ見て歩いとんじゃいっ!」 低い男の声が頭の中にぐわんぐわん響く。私は肩を掴まれて無理やりに振り向かされた。 目の前には男が数人、私より頭一つ大きなその男たちはどれも派手な出で立ちで、茶色に染めた髪を跳ね上げていたり、無骨な大きいピアスをぶら下げていたりと、少しまともとは違う格好をしていた。 「おらなんとか言ったらどうねっ!? ヒトに肩あぶつけといて黙って行こうっちゅう法は無かろうがっ!」 胸倉を掴み上げられ、がくがくと揺らされた。頭が痛む。何か言おうと思っても、意識が混濁していて口がうまく動かない。 「こんボケがっ! ボーっとしおってヤク中かいワレ!!」 ばっ、と急に体を投げ捨てられた。私はそのまま路肩に倒れ込んだ。男たちはニ、三言悪態をついてから去っていった。 立ち上がろうと思ったが、うまくいかない。私は立ってているのか、それとも横になっているか、よくわからなかった。 通行人たちは何も気にせず私の傍らを通り過ぎていく。むしろ心一つ近寄りたくない風に、早足で去っていくように見える。無論だれも私に心配して話しかけたりはしない。都会の人間なんてこんなものだ。逆の立場なら私だってそうしただろう。 そうだ。だから私は今ここに一人でいるんだ。誰にも気をかけない人間は、誰にも気をかけられない。そういうもの。自然の摂理だ。 思えば高校の頃の友人たちは変わり者だった。私はどれだけ彼女たちが人懐こい猫のようにじゃれ付いてきても、ずっと突き放すような冷たい態度ばかり取っていた。みんな本当はすごく私に気を使ってくれていたのかもしれない。 私はなんとか立ち上がった。だけどどこに向かって歩けばいいのだろう。一人暮らしのアパートの部屋? そこに何があるの? いくつもの月日をそこで過ごしたけど、一体何が変わった? 何も変わってない。同じ毎日の繰り返しばかりだった。 いつもそこには自分一人だけ。きっとあの部屋をビデオカメラで撮影していたら、その映像は延々と同じ景色が続いていることだろう。いや、あの部屋だけじゃない。私の回りはいつも虚無に満ちていた。一人ぼっちで過ごす毎日がずっとずっと続いていた。 楽しくも無い日々。これまでも、これからもずっと変わらない日々。そんなものに何の執着があって、私はこんなに必死で生きているんだろう? よくわからなかった。 ああ、足元がおぼつかないと自分でもわかる。ふらふらする。車の音が聞こえる。横断歩道。信号の色はよく見えない。また車の音が聞こえる。私は、ただ前に足を踏み出そうとした。 「やっほーかがみん。久しぶりだね。大学は休み? 何してるの?」 と、そこで後ろから話しかけられた。私は振り向いて、自分より頭一つ低い位置にあるその顔を見た。 こなた……? あんたこそ何してるのこんなところで? 「私は、なんか大学で『はしか』が流行ってるとかで休みになったんだよ。かがみのトコは大丈夫?」 あ~、そういやなんかニュースでやってたわね。ひょっとして、ウチの大学も今日は休みだったのかしら? だったら授業のことは気にしなくてよかったのね。 「それでアキバにでも遊びに行こうと思ってたんだけどさ。急にかがみんの顔が見たくなっちゃってねー、家まで行っても留守だったから探したんだよ?」 そう……、…………はあ……、うれしいこと言ってくれるわね……、さすが幻覚なだけあるわ…………。 「ん? 何言ってんのかがみ?」 わかってるわよ。どうせあんたも消えるんでしょ? 私に友人は確かに居た。でももういない。だから、もし目の前にひょっこり現れたとしても、それは夢であって、現実ではないんだ。 「あれ……? ひょっとしてかがみ調子悪い? なんかすっごく顔が真っ赤なんだけど」 …………こなた、こうして面と向かって言うことは最後の最後まで無かったけど、私あんたを親友だと思ってた……。 「ほへ? 何言ってんのかな、かがみん? 死亡フラグ立ってるよそのセリフ……」 いいじゃない。どうせ消えてなくなる幻なら最後まで言わせて……。 私ね。みゆきより、つかさより、他の誰よりあんたが好きだった。冷たく当たってばかりだったけど、本当はすごく好きだったのよ。惹かれてたんだと思う。自分の気持ちにどこまでも素直なあんたに。 ずっと素直になれなくてごめんね。こんな私に、ずっと優しくしてくれて、ありがとう。本当にあんたには感謝してるわ。 「ど、どどどしたのかがみ? なんかヘンだよ!? 妙に顔も熱っぽいし……私そういう系はROM専で、自ら参加するのはちょっと…………」 勘違いしないでよね……、別に私が言ってるのは、そういうアブノーマルな関係じゃあ…………。ああ、でもそれもいいかな……? だってそういう関係になっちゃえば、ずっと一緒にいられるんだもんね。 こなた…………お願い、どこにもいかないで……。私を一人にしないでよ…………………… 「あれ? かがみ? おわっ! ちょっと奥様、街中でそんな大胆な!! …………ってあれ? もしもし、かがみ……? かがみっ! わーすごい熱っ! ちょっ、しっかりしてよかがみー!」 目が覚めたら、そこは自分の部屋だった。 私、どうやって帰ってきたんだっけ? 確か薬を買いに行って、その帰り道だったはず。そこまでで記憶があやふやになってるけど………… 体を起こす。体調はだいふ回復しているようで、楽に上体をあげることができた。 ぽとり、おでこの上に乗っていたらしい濡れタオルが腹の上に落ちた。 「おー、やっと起きたねかがみ。もう夕方の5時前だよ」 「大丈夫、お姉ちゃん……? もう熱は下がった?」 「念のため今からでも病院に行って診てもらったほうが、よろしいかもしれませんね」 声が聞こえた。懐かしい声。みんなの声を電話越し以外で聴くのはずっと久しぶりだった。 でも、まるで昨日の事のように思い出せる。あの頃と変わらない。みんなの声が、姿が、そこにはあった。 「つかさ……。……みゆき。……こなた…………」 手狭なワンルームの部屋に3人が並んで立っていた。今まで自分一人でいたから、この部屋がこんなに狭かったなんて思っても見なかった。 もう頭痛もしていない。意識ははっきりしている。だからわかる。これは夢とか幻とかじゃなく、本当にみんながここにいるんだ。 「どうして……? なんでつかさたちが私の部屋にいるのよ?」 「こなちゃんがね、電話してきてくれたの。お姉ちゃんが急に倒れたから、って。それで私も大急ぎで来たんだよ」 「私も同じく、泉さんからお電話をいただいてすぐに。心配でしたが、ただの風邪だったようで、一安心です」 そうなの、迷惑かけたわね。私はそう言おうとした。迷惑だったわね。でも別に平気よこのくらい。私は別に風邪を引いたくらいで、体と心が参るほど弱い人間じゃあ…………そう言おうと思って…………。 「…………ありがとうみんな。わざわざ私のために来てくれて、本当にありがとう…………」 そう、呟いた。 ありがとう。本当にありがとう。心からそう思った。 強がってばかりだったけど、すごく寂しかった。会いたかった。みんなに。 「そ、そんな。当たり前だよ。ねえ、ゆきちゃん?」 「ええ、だって私たちは友達じゃないですか」 みゆき……、つかさ……。そっか…………。そうだよね………… 「ん~~?? 久しぶりのかがみんはなんかデレっぽくなったね~! かわいいよぉ~かがみ~ん」 「おわっ!? ちょ、なにをする! じゃれつくなこのっ!」 こなたは体を軟体動物のようにうねうねさせながら、私の頬をつんつん突っついた。 「あれ~かがみさっき言ってたよね? 私のこと親友だと思ってるんでしょ~?」 ぴしっ、私の思考回路が瞬間凍結した。 あれは、まさか、夢でも幻でもなくて、本当にこなただった……? 「ね~かがみん? 私たち親友なんだよね~、あたしのこと大好きだって言ったよね~」 「すっ! 好きとは言ったけど、大好きとまでは言って…………はっ!?」 「や~ん! かがみんに告白されちゃったー! かあいいよぉかがみ~! お持ち帰りしたいー!!」 「あっははは、こなちゃんそれ私のネタだよ~」 「あらあら、泉さんも隅に置けませんわね」 「だーっ!! 帰れお前らー! もういいから帰れーー!!!」 結局、その日はみんな夜までずっと私の部屋にいた。いつ熱がぶり返すかわからないし、心配だから、と言うことで。 夜になって、つかさとみゆきは私の部屋を後にしたが、こなたは明日も大学が休みなので泊まらせてくれと言ってきた。断ろうにも、散々世話になった手前そうは言えない。聞けば、街中で倒れた私を家までこなたが一人で運んでくれたそうだった。 しかもその後も付きっ切りで看病して、起きたときにはお粥まで作ってくれていた。これを無下に扱ってはさすがにバチが当たるかもしれないと思った。 客用の布団は一応あった。ただし今までたまに遊びに来たつかさが数回使用した程度で、ほとんど新品同様だ。それをこなたに出した。 え~かがみと一緒のお布団で寝たい~、とふざけたことを言ってきたが無視した。 「じゃ、電気消すわよ」 「うん。いいよー」 部屋の灯りを落とす。外からは街の明るさと車の行き交う音が微妙に部屋に入ってくる。それでも部屋は静かだった。いつも通りの私の部屋の静けさだった。 「…………あのさ、かがみ」 「……なによ」 ふと、こなたが話しかけてきた。 「ん~、いや、何でもナインだけどね…………」 こなたはそう言って口をつぐんだ。私は黙っていた。すると、こなたがまた話し出した。 「かがみがさ……もし寂しかったら、いつでも私に電話していいからね…………」 「………………なに言ってんのよ……、別に、寂しくなんかないわよ…………」 「ん~……、じゃあ、寂しくなくてもいいから、ちょっとでも私のことが頭に浮かんだらさ、電話とかメールしてね…………」 「…………………………わかったわよ。しょうがないわね…………。でもあんた、高校の頃は携帯にかけても全然出なかったじゃない…………」 「今はちゃんと持ち歩いてるよ。だからね……今日みたいな時も、電話してくれたら、私どんなに忙しくても、絶対かがみのこと助けに来るから。……私がそうしたいから…………」 それっきり、私たちは二人とも何も言わなかった。 聞こえてないわよね……? いくらなんでも……ひぐっ……こんなの恥ずかしすぎるわよ…………うぐっ……優しくされたのが嬉しくて、泣いちゃうなんて………… 枕に涙の粒が落ちる。頭まで布団をかぶって、嗚咽を殺して私はひっそりと泣き続けた。 ありがとう。こなた。本当にありがとう。私は心の中で何度もそう繰り返した。 あの頃の夢をよく見た。 高校生の私。制服を着た私。 クラスの違う友達と一緒に、なんてことない世間話をしていた。 つかさはいつも笑っている。こなたはまたバカなことを言っている。みゆきも天然な事をよく口にする。 私はいつも、あの頃の夢ばかり見ていた。あの頃は楽しかった。あの頃に戻りたかった。 だから目が覚めて、薄暗い部屋の天井を見るたびに泣きたくなった。楽しい夢の世界から、一人ぼっちのいつもの自分に戻ってしまうから。 夢の続きを見ていたくて、枕に顔をうずめた。でも夢は夢。いつか終わる。終わったらまた一人。それがすごく嫌で嫌でしょうがなかった。 でも頑張ってみよう。そう思った。 あの頃の明るく輝く日々を、もう一度作ってみよう。あの頃は、私が黙っていても、つかさが、こなたが、みゆきが周りを回って私を照らしていた。私が黙って、冷たく澄ましてても、みんなが明るく楽しませてくれていた。 それが私にも出来るかもしれない。いや、みんなやっていることなんだ。だから私にもきっと出来る。 ずっと諦めてた。でも私はもう一人ぼっちは嫌だから。私も明るく輝いてみよう。精一杯努力してみよう。 幸運の星になれるよ。私もきっと。 完
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/22.html
余命かがみ つかさ「ねー、お姉ちゃん、こなちゃん。 何で先生に呼ばれてたの?」 かがみ「…私たち留学するんだ。」 つかさ「えぇ!?ど、どこに?」 かがみ「私は法律の為にドイツ。」 こなた「オーストリアのカフェ文化にメイド喫茶を伝道。」 つかさ「そっかぁ……。 うう……。」 かがみ「な、泣かないでよつかさ! 手紙送るからさ。 ね?」 つかさ「……うん。」 つかさ「はぁ、手紙早く来ないかなー。」 ピンポーン つかさ母「つかさー。かがみからの手紙来たわよー!」 つかさ 私が起こさないからって寝坊してない? お母さん、お父さん、みゆきさんを困らせてない? でも、つかさが元気でいてくれれば、 私は幸せです。 今、休暇を利用してバイエルンに来ています。 ドイツは良いところです。 つかさ「あっ、シンデレラ城が写ってる。 きれいだなー。」 おぉ、つかさ!元気にしてる? 私は宣言通りオーストリアのヴィーンでウェイトレスしてるよ。 今度うちの店に寄ってって。 つかさ「こなちゃんは相変わらずだなぁー。」 5年後 つかさ 私が結婚してるの知らせたわよね? なんと!赤ちゃんが生まれました! いやー、子供ってかわいいわよね。 つかさも早くいい人見つけてね。 つかさ「幸せそうだなー、お姉ちゃん。」 オッス!オラ、こなた! つかさ、元気にしてっか! 私はついにヴィーンにメイド喫茶を開きました。 やったね! 今度うちの店に寄ってってください。 つかさ「こなちゃんは相変わらずだなぁー。」 つかさ「ん!?」 つかさ「お母さん。お姉ちゃん病気なんかしてないよね?」 つかそ「そうみたいね。 赤ちゃんも生まれて、健康そうよね。」 医者「はい、今日はどのような具合で?」 つかさ「朝起きれなくって……じゃなくって。 先生は、柊かがみさんの担当だったんですよね。」 医者「はぁ?」 つかさ「かがみさんが通院してたんですよね?」 医者「そりゃ、通ったこともあるでしょ。」 つかさ「お姉ちやんの病気はなんだったんですか!?」 医者「……。」 つかさ「答えてください!!!」 つかさ「私、ドイツに行くよ!」 みゆき「でも、ドイツにいるとは限りませんし……。 あっ!母がドイツで顔の広い友人がいる言っていました! その方を紹介してもらいましょう。」 つかさ「このビルかなー? なんだか変なビルだなー。 お邪魔します。」 つかさ「わー、お寺のマークで一杯だー。」 MAX「ユカリ フロインディン? ツカサ?」 つかさ「は、はい!」 MAX「グーテンターク!」 つかさ「ぐ、ぐーてんたーく! あの……、この人知ってますか? 私のお姉ちゃんなんです。」 MAX「ンー.ナイン.」 つかさ「そうですか……。 じゃあこの人は?」 MAX「アーハア!コナタ!ゼア クライン!」 つかさ「知ってるんですか?」 MAX「ヤー!」 つかさ「どこにいるか知ってますか?」 MAX「ヤー!ズィー イスト イン パリス.」 つかさ「パリですか?」 MAX「ヤー!」 カランカラン 「おーいらっしゃい!」 つかさ「……こなちゃん?」 こなた「おーつかさ!久しぶり!」 つかさ「お姉ちゃん、お姉ちゃんは!?」 こなた「かがみ?いやー、私も知らないんだよね。 急に手紙が来なくなって……。」 つかさ「嘘!皆私のこと騙してる! ねぇ、お姉ちゃんはどこなの!?ねぇ!? こなた「……(フォトショップは使えないなー)。」 つかさ「ねぇ!」 こなた「嘘を嘘と知っちゃったら、やっぱり気分悪いよね……。 ついてきて……。 こなた「かがみ……私、とうとう約束守れなかったよ……。」 つかさ「お姉ちゃんは……?」 こなた「……そこにいるよ。」 つかさ「写真と……箱?」 こなた「開けてみて。」 つかさ「う、う、う、嘘だよね?こなちゃん?」 こなた「本当だよ。」つかさ「なんで?なんで?なんでなんでなんで?」 こなた「私は止めたんだけど……。 かがみがどうしてもって、つかさに心配かけたくないからって……。」 つかさ「しゃ、しゃ、写真は?」 こなた「手術はしたんだけど、にっちもさっちもいかなくなってね……。 一応は、命はながえらたんだけどね。 だからその間に撮りまくって、書きまくった。 だけど、どんなに補正しても、つかさの目はごまかせなかったのか……。」 つかさ「赤ちゃんは?」 こなた「あれは友達の。 しかし、みゆきさんにはかなわないや。」 つかさ「……。」 こなた「皆で騙してたようでごめんね……。 でも断り切れなかった。 かがみも、つかさも友達だから。」 こなた「あと、これ、かがみから。 本当に不器用だよねかがみは。」 つかさ「セーターに、手袋、あとこれは……?」 こなた「金太郎が付けてるやつ。 つかさの赤ちゃんがお腹冷やさないようにだってさ……。」
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/88.html
「お姉ちゃ~ん、早くしないと遅れるよ~」 「おい、こなたー!おいてくぞー!」 外からの声だというのに、二人の声がガンガン頭に響き渡ってくる。 「ま、待って…ふああぁ…」 急いで荷物をまとめ、靴を履いて外に出ようとしたわけだが、まだ完全に起きれてない。 昨日はコミケやらカウントダウンやらで、はしゃぎすぎたのが悪いのだろう。 まぁ、大きな理由はもう一つあったりするんだけどね…。 『かがみまもり』 クリスマスにかがみから告白されて丁度一週間後の昨日、ほとんど一緒に一日を過ごした。 まず、朝一番でひよりやパティと一緒に冬コミへ突撃。 ひよりは自分のサークルもあるし、パティも一緒に手伝っていたようで、二人の休憩時間以外は、 ずーっとかがみと一緒に回った。 かがみも朱に染まったか、何冊か買っていた。頬も染まってたけどね。 その後、かがみの家に行ったわけだけど、半ば無理やり神社の手伝いをすることに…。 かがみ曰く、「毎年コミケに付き合ってるんだから、手伝ってくれたっていいじゃない」だそうだ。 一緒に本買ってたのに、理不尽だー!って言ったら、急に赤くなっちゃってさ。 買った本のことかと思って弄ろうとしたら、 「そ、それに、手伝ってくれた方が、長く…一緒にいられるじゃなぃ…」 声は尻すぼみで小さくなって、顔を真っ赤にしながら言うんだよ?!もう最終兵器だよ?! そんなかがみに敵うはずもなく、私は巫女のコスプレで遅くまでお手伝いしてんだよね~。 引いたくじは二年連続で凶だし、かがみと立場が逆転したりしてネ。 まぁ、カウントダウンは言わなくても分かると思うけど、ゆい姉さんが暴れだしたのが大変だったヨ。 さっそくのおみくじ効果だったかな…。 して、今はどういう状況かというと、初日の出をみんなで見ようというのだ。 みんな、というのは私たち泉家、柊家、高良家、岩崎家+ひよりん、パティ、みさきちと峰岸さんだ。 おっと、それに黒井先生もね。もちろんゆい姉さんとゆーちゃんは泉家に含む形だよ。 全員そろって「いざ行かん、海へ!」ってことになったんだけど、今の私にそんなこと言う元気はない。 でも、行かないわけには行かないし、なんてたってかがみを独りには出来ない。1人じゃないけどね。 「う~、さぶっ!…でも、ねむぅ~…。」 「ほら、こなた!早く乗りなさい!」 「わ、分かってるってばぁ。ふわあぁっ…。」 外に出ると、風が吹いて目が覚め…るかと思ったが、眠気の方が勝っていた。 「こなた、まさかずっとネトゲしてたんじゃないだろうな?」 「いやぁ、昨日は挨拶だけしてすぐ寝たんだけどね~、なれないことしたからかなぁ。」 「でも、巫女さんの仕事ちゃんと出来てたの、凄かったなぁ。さすがお姉ちゃんだよね!」 「う、うん、まぁね…。」 今までずっとかがみの事を見てたから、やることとか覚えちゃった、なんて言えるわけないネ。 もちろん本人の前で言ったら即弄られるネタになっちゃう。 「とりあえず、着いたら起こして~。私、寝るから~、はうぁっ…」 「ったく、しょうがないな。ゆーちゃん、代わりに前に来てくれるかな?」 「あ、はい。…お姉ちゃん、大丈夫?無理しないでね?」 「うん、ありがとうゆーちゃん。おやすみ~」 わたしとかがみは手を繋いで海辺を歩いてた。海からの風が当たるのに、凄い暖かい感じがしてた。 となりにかがみがいるだけで私は嬉しくて、なにより幸せで。 すると、不意に向こう側から大勢の人を抜けてつかさ達がやってくる。 …あれ皆、どうしたの?顔が暗いんだけど…。 「お姉ちゃんとこなちゃん、そろそろやめにしない?」 「私も潮時だと思います。やはり、いろいろと危ないと思いますし。」 「え…?あー、満ち潮が近づいてるってこと?そだね、海を侮ると怖いっていうし…」 「違うよ、お姉ちゃん達のことだよ。」 その言葉で、何か大きな剣で心を貫かれた衝動に駆られた。 会話の始めから感じていた違和感から来る不安が、現実になった。 いや、もっと前から感じていた感情で、自分の中に閉じ込めていただけだ。認めたくないと。 「べ、別に私は世間体とか気にしないし、本人達の気持ち次第だよ、そんなの!」 私はつかさ達に向けられるとは思えないような大声で言い返す。 「では、かがみさんはどう考えてるんですか?」 「わ、私は…」 「な、なんで、そこで口ごもるの?ねぇ、かがみ!」 「やっぱり、世間の目が…少し…気になるかな、どうしてもね…。」 貫いていた剣が爆発を起こしたかのように、私の中の不安が破裂した。 明らかに手が震え、顔もこわばっているのが自分でも分かる。それでも、かがみは言葉を続ける。 「ごめん、こなた…。自分で言っておいてだけど、前みたいに戻ろう?やっぱり私、今後の不安とか、周りからの視線が耐えられない……みゆきの言うとおり潮時なのよ…。」 ちょ、ちょっと待ってよ!かがみ、どういう… 「ごめんね…っ!」 かがみは後ろを向いて勢い良く走り出した。つかさとみゆきさんも一緒に。 「ま、待ってよかがみ!戻ろうってどういうこと?!ねぇ、待ってよ…そんなのって…ないよっ……」 私は、何も感じられない状態で、絶望と孤独によるショックでただ立っていた。 考えることができないというより、もはや、生気を感じられないレベル、かかし状態だ。 周りは真っ暗で、先ほどまでの人も海もなにもなくて、ただ自分だけ取り残されたようだった。 虚無にいた私の口に、不意にスポンジケーキのようなやわらかさと淡い甘さが襲ってきた。 (…何だろう、やわらかくて、気持ちいい…んっ……って、い、息が!く、くるし!) 「ぷはあっ…、はあっ、な、なに…?」 「ようやく起きたわね、まったくもう。」 「か、かがみ?!な、なんで、ここに?」 若干意識が朦朧としていたのか、今の状態が把握できていない。 周りを見渡すと未だに暗いが真っ暗ではなく、自分は椅子に座っているようだ。天井も近い。 そして、さっき別れを告げて走っていったはずのかがみが目の前にいて、いまされたのが…? 「なーに言ってんの!もう海に着いたわよ!」 「あ、あれ?だって、さっき〈ごめんね〉って走り去って行って…」 「…なんのこと?あんたが全然目覚まさないっておじさんに言われたから起こしに来たのよ。 目、覚めたでしょ?新年早々、恥ずかしいことさせんなっつーの。」 (じゃあ、さっきのは全部ただの夢?…よ、良かった…。) かがみが悪戯っぽく微笑んで、私のほうを見てくる。その言葉と顔に安心して、思わず抱きついた。 「うぅっ、かがみぃ~~!!!」 「な、いきなりなによ!ほ、ほら、他の皆も何事かって来てるから!って、あんた泣いてる?」 どうやら、無意識に泣いていたみたいだけど、今はそんなことよりかがみがいることが嬉しかった。 「ど、どうしたのよ、あんた!どこか痛いの?」 「…うん、もう大丈夫だヨ。ごめんね、心配かけて。ありがと。」 「なら、いいんだけどね。…ってほら、みんなの前でいつまで甘えてるつもりだ!」 ちょっと強引に離されたが、かがみの存在を心と体で感じて、ひとまず落ち着くことが出来た。 まだ説明してないお父さんとかがいるから、自重しないとネ。 まぁ、親以外は全員知ってることになるから、そろそろ頃合いを見計らって言うつもりだけど。 この間のクリスマスの時点で、つかさにみゆきさん、それとゆーちゃんまですでに知っていた。 ひよりんやパティはすぐに感づいて問い詰めてきたし、みなみちゃんにもゆーちゃんがしゃべったみたいだから、正直他に知らない人はいない。みさきちと峰岸さんには、かがみが自分で伝えたみたい。 あー、親じゃないけど、ゆい姉さんと黒井先生も知らないね。ゆい姉さんには言うにしても、先生にはどうしたものかな? 起きて車を降りると、みんなが待っていてくれた。 「お姉ちゃん、やっと起きたね。全然起きないから心配しちゃったよ。」 「ごめんごめん、色々疲れててさ。今は顔も変わって、元気100倍だよ!」 「また懐かしいネタやなぁ。どないにしても、泉にしては幼稚すぎへんか?」 すかさず突込みが入る。でも、これはかがみじゃなくて、 「あ、先生、明けましておめでとうございます。いやぁ、寝起きだから頭のキレが悪いんですよ。」 「おぉ、そういえばまだ挨拶してへんかったな。明けましておめでとうな。」 ちらっとかがみの方を見ると、なにやら不機嫌そうな顔をしている。可愛いねぇ~。 でも、ここはあえて気づいてない振りをして、先生との会話を続ける。 「そういえば、ゆい姉さんの運転は平気でしたか?」 「何もなくて、全然平気やったで?しいて言えば、運転上手かったなぁ。」 「運がいいですね、先生。いつもはリバース地獄ですよ。全ての道が酷道と化します。」 「そーなんか?まぁ、帰りを楽しみにしとるわ。」 そういって笑ってるけど、帰りにゆい姉さんの本気を見ても知らないヨ? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― その後、まだ挨拶していないみゆきさんとみなみちゃんの親にも挨拶を済ませた。 私とかがみのお父さんとゆい姉さんは場所を探しにいってたみたいで、しばらくしたら戻ってきた。 他にも大勢の人が来ていて、砂浜では全員で取れるような場所がなかったらしく、かろうじて見つけた場所は砂浜から少し離れた岩場だった。 「いやぁ、すいません皆さん。こんな場所になってしまいまして。」 「いえ~、全然構わないですよ~。せっかく探してくれたんですもの。ねぇ、みゆき?」 「はい。それに他の方々から若干離れているので、静かでいいです。」 どっちが親なのか分からないような反応だが、そこはさすが高良家。 「それに、砂浜よりは僅かに高いから、ちょっと早く拝めてラッキーかも?」 「そんなん大して変わらんがな。特に泉の場合はな。」 「先生、さりげに気にしてる事をズバッと言いますね…。」 そんな話をしていると、岩場の上は大人グループ、下は私たち高校生という構図が出来上がった。 そんな中で、私だけ岩場の上で先生とネトゲや受験などの話をしては、突っ込まれていた。 すると、何かを感じて下を見ると、なにやら不吉なオーラを出しているかがみんがいるわけで。 (ちょ、かがみ!?いくらなんでもオーラはまずいよ、オーラは!) 「って、うおっ!」 急いでかがみの方へ寄ろうとしたら、暗かったため、石に躓いて派手に転んでしまった。 そこが岩場の上だったため、岩場の側面に沿いながら下の砂浜に転げ落ちた。 「ぐえっ…ま、まだ、死ねない…」 「こなたっ!大丈夫!?立てる?」 「お姉ちゃん、大丈夫?!」 「おい、泉ぃ!無事か?」 「こなたー、大丈夫かい?骨とか折ってない?」 かがみとゆーちゃんが慌てて駆け寄ってくる。上からも先生とゆい姉さんが心配そうにのぞいてくる。 特にかがみは顔面蒼白だ。とりあえず必要以上の心配はかけたくない。 「大丈夫だヨ、そんなに心配はいらn、うぐっ…」 無事だと見せるため、立ち上がろうとしたら右足に激痛が走った。思った以上に痛めたかもしれない。 「ちょっと、こなた?!あんた、本当に大丈夫なの?」 「…待って。動かないでください…足をくじいてるかもしれないから…。泉先輩、懐中電灯を…。」 懐中電灯を渡すと、みなみちゃんが丁寧に足を診てくれた。かがみや周りの皆も心配そうに見ている。 高さは2メートルぐらいだったし、厚着していたのも手伝って外傷はほとんどなかったけど… 「…軽い捻挫だと思います…。けど、あまり動かさない方がいいです…。待っててください、今…。」 そう言うと、持っていたバックの中から湿布と包帯を取り出し、手当てしてくれた。 「おぉ、さすが保健委員。ありがとう、みなみちゃん。」 「いえ、お役に立ててよかったです。」 「私からもお礼を言うわ、ありがとう、みなみちゃん。」 何か親がするお礼をかがみがやってる感じで、嬉しいんだけど、恥ずかしいし、それに複雑。 「それにしても、良く持ってたね。常備してるって凄いなー。」 「本当、みなみちゃんはすっごい頼りになるんだよ。」 「さすがネ、みなみン!」 つかさにゆーちゃん、パティが褒めるもんだから、みなみちゃんは顔を赤くして顔を逸らしてしまった。 今は慣れたから分かるけど、知らない人から見たら怒ってるようにしか見えないんだろうね、これが。 まぁ、本当の意味が分かると、これはこれで可愛いんだけどね~。 「…ゆたかに何があっても対処できるように…いつも持ってるから…」 「そ、そうなんだ!ありがとう、みなみちゃん。そう言われると恥ずかしいな、えへへっ。」 どこから見ても立派な恋人にしか見えない二人は、本当に微笑ましい絵になる。 「ふぉー、もう駄目ッス!この二人は反則ッス!いくら、つきぁ(むぐっ」 「ひよりン!それはまだ言っちゃだめネ!」 「あ、ごめんごめん…。つい、暴走しそうになっちゃった。」 「まだ、あの二人のことも言ってないんだから、気をつけてもらわないと困るよ、ひよりん…。」 そう、私たちと時を同じくして、無事カップルになったのがゆーちゃんとみなみちゃんだ。 まぁ、あの二人はなんだかんだで、前から似たような感じだったから、違和感ないけどね。 みゆきさんとかからすれば、あの二人にそういう考えがあったのことに皆は驚いてたみたいだけど、 私たちの時同様、みんなでサポートする形になったんだよね。本当、いい人に恵まれてるよ、私たち。 それにいつ見ても、あの二人は萌えるからね~。 「な~に馬鹿なこと考えてんの?どうせ、あの二人を見て萌えとか考えたんでしょ?」 「うぉ?!かがみん、いつの間にか読心術を?!」 「あんたの考えてることなんて分かるわよ、単純だしね。ほら、支えてあげるから立ちなさいよ。」 「一言余計だヨ…。でも、ありがとう、かがみ。」 憎まれ口をたたきながらも、照れながら肩を貸してくれた。やっぱりツンデレだよね~。 でも、そんなことを言ったら座らされて、しばらく放って置かれそうだから止めとく。 「…それにしても、さっきは妬いてたのかなぁ?ねぇ、かがみぃ~。」 ただ、やっぱり自分がかがみを弄りたいという心は抑えられない。だって、ねぇ…いじると可愛いし。 私は支えられているというのに、にやけ顔全開でかがみを見つめる。 「んなっ?!そ、そんな訳ないでしょ!ただ、先生の方が突っ込み速かったなぁって思っただけよ。」 ボンッと音が出たように聞こえるほど、すぐにかがみの顔は真っ赤に沸騰した。それでも私は続ける。 「それで自分の専売特許を奪われて、やきもち妬いてたんだ~。可愛いねぇ~かがみは♪」 「う、うるさ~い!ただ、こっちに戻ってこないかなって思ってだけで、別に妬いてたわけじゃ…!」 「かがみ…耳元で大声はきついよ…。それにかがみもバレバレだよ、ある意味単純だし。」 「ご、ごめん。でも、ある意味単純ってどういうことよ?」 ちょっと反省したのか、声を極端に小さくして問いかけてきた。 「だって、かがみは何でもかんでも顔とかしぐさに出るもん。まぁ、そこが可愛いんだけどネ♪」 「うぅ~、みんなの前でそれ以上恥ずかしいこと言うの禁止…。それにそんなに顔に出てる…?」 「だって、今も真っ赤だし。それに多分皆もそう思ってるよ?ねぇ、つかさ?」 急に話を振られて、つかさはボーっとしてたのか慌てた様子で答えてきた。 「ふえっ?ご、ごめん、こなちゃん、何の話?」 「いや、かがみってなんでも顔とかしぐさに出るよねって話。」 「確かにお姉ちゃんって表情豊かだよね~。うれしい時とか、悩んでる時ってすぐ分かるよ~。」 「それに、なんかオーラでも分かるよな!隠し事とかあんまできないタイプだぜ。」 そういってみさきちが会話に飛び込んできた。後ろから峰岸さんもやってくる。 …何か1人だけ苗字で呼んでるし、仲間外れみたいだから呼び方変えようかな? 「あぁ~、分かる分かる。そういうとこあるよね、かがみって。」 「柊ちゃんは隠してるつもりでも、結構分かりやすいのよね。照れてる時は反対に取ればいいし。」 「あれだな、この間ちびっ子に聞いた通り、柊はツンデレなんだってヴぁ。」 「じゃあ、あんたはあれだな、馬鹿素直ってやつで決まりね。」 「お、お姉ちゃん、容赦ないね。」 「みゅう~。あやのん、この寒いのに、柊がドライアイスみたいだぜ…。」 いつものみさきちのあしらわれ方、そしていつもの峰岸さんのフォロー。 私でもちょっとばかしかわいそうに思えるが、いつものことだから華麗にスルーする。 「気になったんだけど、かがみとつかさは苗字で呼ばない方がいいんじゃないかな?ややこしいヨ。」 「う~ん、考えてみれば確かにそうね。それに5年間も一緒何だし、下で呼んでもらって構わないわよ?私もこれからはそうするわ。」 「そう?じゃあ、これから私もそうするね。よろしく、つかささんにかがみさん。」 「じゃあ、私もそうしよっかな?よろしくね、あやちゃん。」 つかささん、それはマジっすか?いきなりあだ名で呼ぶとは、さすが天然系。 「…つかさ、いきなりあだ名で呼ぶのは…。」 「うふふ、私は別に構わないからいいわよ。みさちゃんもみさちゃんでいいと思うわ。ね?」 「おう、よろしくな、つかさにかがみん!」 む!かがみのことをそう呼んでいいのは私だけだというのに!…そんなルール決めてないけど。 「お前までかがみんと呼ぶな!普通に呼べ。」 「えー、いいじゃんかよー。ちびっ子だってたまにそう呼んでんじゃん。」 「いいからかがみと呼べ。なんでも構わないから、かがみんと呼ぶな。」 「ちぇー、つまんねぇの。まぁ、いっか。よろしくな、かがみ~。…おぉ、何か新鮮だ。」 「分かればよろしい。こっちこそよろしく、みさおにあやの。」 かがみが〈かがみん〉という名を私だけが呼んでいいことにしてくれているのが、正直嬉しかった。 別段かがみは私のことをあだ名で呼ばないけど、私は全然構わないし、今頃変えられても違和感がある。 「よろしくね~。それとつかささんにかがみさん、私もあだ名で呼んでいいかしら?」 「うん、全然いいよ~。でも、今まで呼ばれたことないかも…。」 「私も構わないわ、かがみんでなければね。まぁ、あやのがそう呼ぶとは考えにくいけど。」 「ありがとう、二人とも。どんなのがいいかしら。柊からとって、〈ひーちゃん〉とかどうかしら?」 (うぉ、それってつかさが自分でつけた場合として考えた奴ジャン!似たもの同士だからかな?) 「わあ、前に私が自分で考えたのと一緒だね♪私もOkだよ。」 「そうなの?じゃあ今度からそう呼ばせてもらうわね。」 「いや、それじゃあ苗字で呼んだときに逆戻りしてるだろ。区別がつかないわよ。」 確かにそうだ。親しくはなった感じは出るけど、この二人の差がつかない状態に戻っては意味がない。 「それじゃあ、お姉ちゃんは〈きょうちゃん〉にしたらどうかな?私が前に考えたやつなんだけど。」 「なるほど、名前を変換して音読みにしたのね。かがみさんもそれでいい?」 「まぁ、あやのだったらいいかな?」 「えー、私が呼んだ時は散々嫌がったのに、なんでさ?」 「あのときはいきなり呼ぶからでしょ。決めてもないあだ名に普通は反応できないわよ。」 ちょっと不満だけど、正論を言われると反論できない。でも、一番あだ名らしいのがなぁ…。 「な~に?あんたも妬いてんの?あんたも人のこと言えないじゃない。」 また心を読まれて図星を指された。なんか最近、私が主導権を握るペースが崩されてるヨ。 「うお、またしても読まれた?!…前より、敏感になったネ。」 「当たり前じゃないの。前よりあんたのこと見てんだから。」 私は顔を赤く染めてしまったが、暗さでごまかせる範囲だと思う。すぐさま逃げに入る。 それにしても、かがみの方は当たり前じゃないのと言わんばかりで、恥ずかしがってない。 私がいじる側で固定されてたのに…まさか、今年から下克上?! おみくじにそんなこと書いてあったかなぁ?…凶だからろくな事じゃないだろうけどネ。 「そ、そういえば、峰岸さんだけ上の名前で呼んでるから、私も下でいいかなぁ?」 話しかけた相手は、どう見ても暖かい目としか言い様がない眼差しでこちらを見ていた。 逃げたな、という視線をかがみから感じながらも私は返答を待った。断られることはないと思うけど。 そのため、峰岸さんは急に方向転換した話にビクッと驚きながらも、快く了承してくれた。 「え?うん、もちろんいいわよ~。私も下の名前で呼ばせてもらってもいいかな?」 「もちのろんだヨっ。じゃあ、あやのさんヨロシク!」 そんなこんなで話は収束し、後は初日の出を待つばかり…のはずだった。 2へ続く
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/45.html
by武豊似(コネチカット州) かがみ「はぁ、司法試験もらくじゃないわね~プハー」つかさ「・・・お姉ちゃん、この子達の前でタバコはやめてほしいな」 かがみ「うるさいわね!あたしは勉強でストレスたまってんの! つかさみたいに毎日気楽にのほほんと生きてるわけじゃないのよ!ったく!」 つかさ「お姉ちゃん・・・」 かがみ「かぁ~っ!タバコうめぇ~!」
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/748.html
「よっこいしょういちパクっちゃったよ~」 「パクられちゃったよ~」 「・・・なんだかなぁ」 こなたとかがみの無人島生活1日目 ~荷物~ そんなこんなで島に到着 「島に着いたよ~」 「早速荷物確認といきましょうか」 というわけで荷物確認 かがみのかばんの中身 非常に都合の良いおやつ袋(300円分) ラノベ(5冊ほど) サバイバルブック 着替え用の服(上下5着ずつ) 絆創膏など医療品 その他都合のよい小物入れ 携帯電話 こなたのかばんの中身 ポテチとポッキーしか入ってないおやつ袋 漫画(推定10冊以上) 同人誌(不特定多数) ひよりからもらった謎の袋(恐らく本) カメラ DSが2台(ゲームも何種類か) 着替え用の服(多分上下3着ずつ) コスプレ用の服(不特定多数) ノートパソコン その他遊び道具いろいろ その他、みゆきとつかさからの支給品 寝袋1つ←ここ重要 調理用具関連 マッチ箱(マッチ20本) サバイバルナイフ2本 バルサミコ酢 お守り 「まずこなたの持ち物について語らないか?」 「ん?どったの?」 「少しか無人島ということを意識して荷物を選んだのか?」 「いや、まったく」 「おいおい・・・」 「だってかがみが用意してくれると思ってたし」 「あっそ」 「だからかがみと遊ぶための道具を持ってきた」 「えーっと・・・何しにここにきたんだったかしら?」 「思い出作り」 「・・・そういえばそうだったかもね」 「そうそう」 「・・・そんなことよりテントとかないの?」 「ないねぇ~」 「ないね」 「ないですね」 「ないのね・・・」 「まぁこういう島には都合よく洞穴とかあったりするから大丈夫だって♪」 「それは漫画とかの話でしょ」 「大丈夫だって~なんとかなるよ」 「それじゃあ私たちはこれで一旦失礼しますね」 「また3日後に会おうねこなちゃん、お姉ちゃん」 「あ、そういえば」 「どうされました?泉さん」 「今は午後4時なわけだけど」 「そうね」 「迎えに来るのって今からちょうど72時間後?」 「ちょうどということにはならないでしょうが恐らく」 「分かったよ~それじゃあ3日後にね~」 「それでは・・・また3日後に」 「それじゃあね~」 そしてつかさたちが乗った船は島を離れていった。 「さて、先ずは拠点を決めないとね」 「そうね、でもどこにするつもり?」 「洞穴を探そう」 「そんなものあるわけ・・・ あった」 「ほらね?やっぱりこういう島にはあるんだよ」 そうして私たちはそのいかにもな洞穴に入っていった。 少し暗い道を歩いていると、何か壁のようなものにぶつかった。 「ここが端みたいだね」 「・・・暗いわね」 「確かライトが・・・」 「持ってきてたのか・・・」 「あったあった」 「一応用意はしてるのね」 「洞穴があることをあらかじめ予想してたしね」 「あっそ」 「さてかがみんや」 「何よ」 「今からどうしようか」 今の時刻は午後5時。いくらなんでも寝るには早すぎる。 「・・・どうしよう」 「島を探検してみる?一応今日から3日ここで生きるわけだし」 「そうね、島を知ることに越したことはないわね」 こうして島を探検することになった。 わけだが・・・ 「狭くね?」 「・・・確かに」 30分で島を一周してしまった。狭い島だ。 とりあえず分かったことは、 島の中央には木が生い茂り、 島の裏側には高い崖があった。 「また暇になっちゃったね~」 時刻は午後5時45分 「暇ね・・・」 「DSやろう!DS!」 「・・・まぁ暇よりかはましか」 「じゃあ決まり~♪」 そしてゲームしたり、何気ないおしゃべりしたり、 こなたとはいつも会ってるし、・・・一応恋人だけど、 こうして会話の話題が尽きないのは不思議なくらいだ。 ・・・ほとんどアニメの話だったからほとんど分からないがな。 「ありゃ?もうこんな時間か」 時計を見てみると午後7時を指していた。 「といっても特にやるべきこともないけどね~」 「・・・宿題は?」 「うぐぅ・・・」 「まぁ別にいいけどね。一応思い出作りって名目で来てる訳だし」 「なんだかんだいって思い出作りってことを分かってくれてるかがみ萌え」 「う・・・うるさい」 「でもやることないよね・・・」 「ちょっと早いけど寝る?」 「そうするかぁ~今日はいろいろあったしねぇ~ふわぁ~」 こなたがあくびをひとつ 「1学期終了式からそのままここまで来たからね・・・」 「前日も少し夜更かししちゃってさぁ~眠いんだよぉ~」 「・・・せめてそういう日の前は夜更かしとかやめない?」 「さてどうやって寝る?」 「ん?寝袋があるんでしょ?」 「一つだけ ね」 「あれ?そうだったの?」 「まさか二つあると思ってた?」 「当たり前じゃない。・・・どうしようか」 「そりゃあ・・・まずかがみが寝袋に入って・・・」 「ふむ」 言われたとおりに寝袋に入る私。 「んでそこに私が・・・」 といってこなたは寝袋に入ってきた。 確認しよう。寝袋は一つだけ。 つまりこなたと私は1つの寝袋に一緒に入っている。 半分予想していたとはいえ、実際にやると恥ずかしい。 恐らく私の顔は今真っ赤。 「あれぇ~?かがみん顔赤いよ?」 「う・・・うるさいわね」 「たまに一緒に寝ることだってあるじゃん。別に大して変わらないよ?」 「で・・・でも・・・」 確かにたまにお泊り会と称してこなたと一緒に寝ることはある。 しかし、今は小さな寝袋に私とこなた。 ぴったりとくっついている。 こなたの体からこなたの体温が直接伝わってくる。 それを考えれば考えるほど顔が赤くなってくる。 「かがみが何考えてるか大体分かるよ? 多分私の体がぴったりくっついていて恥ずかしいんでしょ?」 人の心を呼んでいるかのような見事な回答を見せてくれる。 「・・・私も少し恥ずかしいけどね」 「え?」 そういってこなたのほうを見ると確かに少し顔が赤い。 「と、とりあえず寝よう」 「そ、そうね。寝よう寝よう」 そういって私たちは寝ることにした。 ・・・が、なかなか寝られない。 それも当然で、さっきも言ったように こなたと私はぴったりとくっついた状態で寝ている。 さっきから胸がドキドキしている。 こなたもドキドキしているのかさっきからピクリとも動かない。 緊迫した空気の中、先に口を開いたのはこなただった。 「ねぇかがみ起きてる?」 「うん・・・一応ね」 「やっぱりかがみも眠れない?」 「・・・うん」 「かがみ」 「なに?」 「顔上げて」 「え?」 私はこなたの言うとおりに顔を上げた。 するとこなたの顔が目の前にあった。 さっきまでドキドキしてたのがもっとドキドキしてきた。 「えへへ・・・かがみん♪」 「な・・・何よ」 「顔まっかだね」 「あ・・・当たり前じゃない」 「んじゃあ・・・」 そうつぶやくとこなたは顔を近づけてきた。 そして、 キスしてきた。 「ぷはっ」 「い、いきなり何を・・・」 「もう、なんか気まずい状態より 一気に雰囲気崩したほうがラクかなと・・・」 「だからっていきなり・・・キスなんて」 「でも気持ちは落ち着いたんじゃない?」 「う、確かに・・・」 何か腑に落ちないが確かに変な気持ちはなぜか落ち着いたので言い返せない。 「かがみ~ん♪」 「ちょ、いきなり抱きつくな!」 「さっきから密着してたのにそれって今更だよ?」 「まぁ・・・そうかもね」 「いやぁ~かがみん暖かいよ~これなら眠れそ・・・ぅ・・・」 そういうとこなたは静かに寝息を立て始めた。 「もう・・・こいつは」 そうして私もなんだか晴れたような気持ちで眠りについた。 一日目おわり コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b ↓君ちょっと一緒に裏行こうか?(*^ω^ ) -- 名無しさん (2023-05-06 20 27 12) 2人の間に入りたい -- かがみんラブ (2012-09-24 05 55 57) こなたと抱きついて寝たいなー[マジで!!!!!] -- バサルモスコ酢 (2010-05-01 08 56 39) 支給品にバルサミコ酢ってちょ、おまww -- 名無しさん (2009-09-08 19 04 52) ニヤニヤしてる俺がキモいwwあと、こなたのバッグの中身自重ww -- 柊ただお (2008-10-27 22 33 57) あと2日‥次回でどんなイベントが起こるのか期待ですね -- 名無しさん (2008-09-14 01 38 57)